『2009年からの「超超金融緩和相場」は終わりを告げたと思われる』

千葉の県人 鎌田 留吉

2月2日から暴落が始まったダウ平均は、3月19日 ▲335ドルで終わり三角持ち合いを下っ放れた。

2009年から始まったNYダウ平均の大相場は既に大天井を打った。それはアメリカで「超超金融緩和」が終わってしまったからである。実体経済は堅調ではないか?という声には、株式市場と実体経済は基本的には無関係であり、相場は景気が「未だし」のうちから上げはじめ、「幸福感の中で消えていく」(ジョン・テンプルトン)ものだからと答えよう。

今回のアメリカの大相場を一言でいうなら、「超超金融緩和相場」ということに尽きる。伝統的な緩和手法である政策金利の段階的引き下げから始まって、それが行き着いてゼロ金利に到達してからは、「量的金融緩和」(QE)という尋常ではない手段がとられた。
しかし実は今や、アメリカにおいて「金融の引き締め」が始まってから2年3か月もたつのだ。2015年12月に一回目のF.F.レート引き上げがあり、(0%〜)0.25%が0.5%になった。その後二回目は1016年12月に実施され0.25%上げて、0.75%になった。2017年には計三度引き上げられ3月に1.0%になり、6月に1.25%になり12月に1.5%になった。
しかし、2017年9月まで国債利回りは殆ど反応しなかった。国債利回りが動意づいたのは2017年9月21日(10年国債の利回り2.278%)にFRBが「量的金融緩和の逆の営み」=「保有国債の売却による市場からのマネーの吸収」を発表してからである。その後2年債にしろ10年債にしろ、国債利回りは一方的に上げ続け2月2日に10年国債は2.841%に上昇した。そして株式の急落が始まったのである。

金利が上昇すると何故株が売られるのか?。逆を考えればむしろ解りやすい。2007年9月以降F.F.金利は5.25%から下げ続け2008年12月から(0%〜)0.25%(=実質的0金利)になって7年間ゼロ金利のままであった。
2009年3月に株式は底を打ち、それからはあげに上げ続けたことは周知のとおりである。ゼロ金利になってから、4か月後に株式は底を打ったのだ。それはリスクオンがスタートしたということである。極めて低い短期金利で資金調達していわゆる資産(株式と不動産)にお金がまわり始め、そこからは「買うから上がる」「上がるから買う」という循環になっていった。それが今逆の回転を始めたのである。リスクオフの始まりである。(タイムラグが何故起こるかについては2015年6月の本欄「F=ma」参照

株を売ったお金はどうなるのだろうか。1.債券に向かう 2.市場に留まって他の銘柄に向かう 3.暴落したときに購入するための待機資金として寝かせる 4.完全に市場から離れてEXITする。

  1. 国債の利回り上昇は今後も続くと思われ、今の水準(10年で2.84%)も決して魅力的ではない。
  2. この可能性は否定できない。上昇相場が丸9年も続いてきたのだ。しかし、2月5日の1175ドルという史上最大の下げで、戻ったら売りたいと思っているひとは多い。
  3. オマハの賢人ウオ―レン・バフェットは2017年9月現在、現金比率を高め2007年のバブル崩壊前の水準に近づけている。比率で14.2%、金額で10兆2000億円(1ドル=106円換算)という大量の現金を、暴落に備えて寝かせている。
  4. これからの金利上昇の継続を考えるなら、完全にEXITする人が正解となるのだろう。

2018.3.20.記