『(株)TOKYO BASE(3415)のF.O.によるEXIT』

千葉の県人 鎌田 留吉

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筆者近影

既に上場している企業の売り出しをF.O.(Following-on Offering)という。

現在、(株)TOKYO BASE(3415)(以下T社と呼ぶ)がF.O.を進行中である。そのスケジュールは以下の通りである。

  • 1月27日取締役会で株式売り出しを決議。同日発表。株価終値2,960円
  • 2月3日(金)値決めの前日、何故か?295円(9.7%)も上昇
  • 2月6日(月)売り出し価格決定=3,283円(3%引き)終値3,385円(PER54倍)
  • 2月7日申込み初日;午前中払込を促進するためか?史上最高値4,010円をつけ、3,815円(+430円)(+12.7%)で終わる。
  • 2月8日335円安の3,480円で終わる。翌2月9日115円安。10日、売出し価格3,283円を割り込んで145円安の3,220円で終わる。果たして株券が交付される2月17日は幾らの値段で寄り付くのであろうか?

この株は実は12月末までは2,000円を出たり入ったりしていた。しかし年末から新年の3日で147円上げ1月10日263円高、11日269円高した。そして、3,385円での値決めを迎えたという訳だ。年末の2,087円と比較すると+1,290円何と+62.19%である。この上昇(+1,290円)でメリットを受ける関係者は勿論売り出し人。売り出し株数1,392,000株とOver Allotment(以下OAと呼ぶ)分208,000株合計1,600,000株丁度で20億6400万円手取りが多くなる。そして売り出しの仲介を勤める証券会社の手数料も(6日終値の何と!!5%も取る)1億320万円増加する。

OAとは、T社の場合、掲げている売り出し株数は1,392,000株だが(予定どおり)人気が出てそれ以上の応募があった時に208,000株を上限に売り出す株式のことである。これは主たる売り出し人から主幹事証券が借りて充当する。その株を返す方法はしっかり確保されている。次の3つの方法から選択できる。

  1. 貸株人より普通株式を3,283円で買う権利を2月21日迄付与されている。
  2. 9日から2月21日まで市場で購入して返却する。
  3. 申込期間である7日と8日の2日間、購入を促進する安定操作のために購入して返却に充当する(7日に買い上がり、8日に売却した場合ほぼ損なしでその購入分は処分できることだろう)。

私が疑問に思うのは年初から主幹事証券が株式を買い上がったとして、その購入株式をOAの返済用に充当できるのか?ということである。

私がこのような邪推を巡らせるのも、女性用のアパレル関係の銘柄はまんまとお行儀の悪い経営者がEXITを果たしたと思われても仕方がないものが多いからだ。夢展望(3185)然り、ANAP(3189)然り、そしてこの間上場したばかりのバロックジャパン(3548)然りだ。是非これらのチャートをご覧ください。

2017.2.14 記