1月12日   新・相場展望
特定非営利活動法人イカス理事
株式評論家  鈴木 英夫
    相場展望『日経新聞の恒例の新春アンケート結果をどう読むか』

 原油価格の100ドル乗せや雇用統計の悪化など米国景気のスタグフレーションを懸念させる事態が相次ぎ、株式市場は悪化の様相を一段と強めている。1月4日(金)の東京市場の大発会は日経平均株価が616円余の大幅安となり、予想以上に厳しい相場の幕開けとなった。
 ところで、日経新聞は経営者や有識者に景気・株価の見通しをアンケート調査し、その結果を毎年1月3日に発表している。今回は景気に関し20名、株価については21人に聞き、発表している。サブプライムローンに端を発した信用収縮、それに伴う米国景気の減速等厳しい状況の下で、20人の方々の2008年度の実質GDPの伸び率は平均で1.98パーセントと政府見通し(2%)とほぼ同じ水準となり、1.5%を見込む2007年度からは回復すると見ている。
 また、株価に関してはメディアの多くが悲観色の報道をしているにも関わらず、春頃までは調整が続き、日経平均株価は14,000円〜14,500円程度で低迷するが、新興国需要を取り込める国際企業が牽引力となり、プラス基調を取り戻し日経平均株価は後半にかけ18,500円〜19,000円程度に戻ると見ている方々が大勢である。
 20年余前に、このアンケート調査に黒子として何度か参加した事があるので、このアンケート調査にはそれなりの見識を有している。端的に言えば、このアンケートの結果は余り当らず、逆の結果となる事も決して少なくないと認識している。極めて難しい相場の展望を1年にわたって行う事は、神様でもない身には到底無理な事であるからであろう。そして、このアンケートの依頼は11月の下旬から12月の初めにきて、12月中旬が提出期限である。従って、黒子の多くは、その時期の景気・株価動向に大きな影響を受けて、アンケートの回答に終始する事になる。
 今回は、サブプライムローン問題に端を発した国際金融市場の混乱、それに伴う実体経済への影響から、世界経済の減速懸念が高まるとの悲観的報道の多い最中での作業であったはずである。その割には、景気見通しも、株価予想とも楽観的というか、前向きの結果になっている感じがする。これは、サブプライムローンに関する認識が不足しているのか、メディアの観念論に基づく極度の悲観論に対して、厳しい国際競争のもとで日々経営に携わっている人達の肌で感じている我国の競争力の強さに基づいているのか、極めて関心を抱く点である。
 さて、有望銘柄のトップ3は「コマツ」、「トヨタ」、「三菱商事」であり、第7位に「スズキ」が入っている事からも、今年のメインテーマが新興国の需要・開発を取り込める国際企業に注目している事がわかる。また「ガイシ」、「ダイキン」、「東レ」がトップ10に入っている事から「環境・地球温暖化ストップ」に貢献する企業をも評価している事がわかる。
 いずれにしても、前回全体相場が如何に悪くとも新高値をとる銘柄が出るのが、株式市場の特性であり、それらの銘柄は「世の中の流れの変化に添ったテーマ」を的確に捉え、リスクを取り業容変貌させる企業であると申し上げた。
 「新興国の需要・開発」や「環境・地球温暖化防止」といった大きなテーマに果敢に挑む企業の中から新高値銘柄が出ると認識し投資銘柄の選別に臨みたいものである。
(1月12日記)