9月1日   相場展望
特定非営利活動法人イカス理事
株式評論家  鈴木 英夫
      『市場の出来事に最大の関心を』

 サブプライム問題に端を発した信用収縮は一向に収まらず、世界の株式市場は乱高下を繰り返している。FRB,BDE,日銀などの主要国の中央銀行が徹底した対応すると言明しても、米国のCP残高が2兆ドル割れとなったり、英国のバックレイズ銀行が中央銀行から2度目の緊急融資を受けたとの報に接し、市場の信頼は一向に回復していないからである。

 ところが、前週末(8/31)の東京市場は堅調に推移していたところに、ブッシュ大統領がサブプライムローンの問題の沈静化を目指して、総合的な対策を発表する見通しになったという外電を受け騰げ足を一段と強め、日経平均株価は415円もの大幅上昇し、16,569円で引けた。当稿執筆時では、NY市場の動きが分かってないが、多分それなりの評価をし、サブプライム問題に絡む不安感はとりあえず一服するのではなかろうか。

 さて、今週から本年度の上期を締め括る9月相場が名実共にスタートする。例年9月相場は夏休みも終わり、9月の中間期決算での好業績、高配当利回り銘柄を買う動きから、比較的堅調な展開となっている。ところが、本年はサブプライム問題から世界の株式市場が乱高下を繰り返しているので、そのような展開は難しいかなと見ていたが、ブッシュ大統領の対応策を評価して、信用収縮の動きが、それなりの落ち着きを見せれば、真っ当な相場に復帰する可能性もあるのではなかろうか。

 ところで、8月の東京市場では、日経平均株価が200円超下げた日が、8日あり、全営業日数23日に対し35%にも達し、1〜7月の21%と比べて著しく高く、8月は乱高下相場の下で値動きの荒さが目立った。これは、いつにサブプライムローン問題に絡む信用収縮に市場が戸惑ったことによるものだが、8/21(火)以降の東証一部の売買代金が活況の目安といわれている3兆円を大幅に下回る薄高内で終始した事による因る面も少なくない。

 信用収縮の行方を見守りながら様子見姿勢を強めていると同時に、株価の低落からリスク許容度が低下した投資家が少なくないためである。したがって、前週末の動きを引き続き、東証の売買代金が3兆円台に回復することになれば、市場はブッシュ大統領の対応策を評価し、サブプライム問題に絡む不安を一服させたとみて良く、今週の東証の売買高、売買代金の動向には注目が必要である。もし、出来高が回復すれば好業績の高配当利回り銘柄を評価しての真っ当な相場が東京市場で展開する可能性がある。その場合は4〜6月期の業績が予想以上に良く、今3月期の業績見通しを上方修正することが必至である上、2%前後の高配当利回り銘柄の多い薬品株が先ず注目されよう。

 為替動向は気になるが、1ドル=115円前後にとどまれば、好業績かつ高配当利回りの自動車株、建設機械株などもその対象となろう。逆に、円高に進めば円高メリットと高配当利回りを評価し、石油株、紙パルプ株などが注目される可能性がある。いずれにしても、前週末の日経平均株価の大幅高が本物であり、今後の相場の鍵を握るのは市場の出来高であると認識し、東証一部の売買高、売買代金の動きに最大の関心を持ちたいものである。 (以上)