投資クラブってなんだ ?
ロンバート投資クラブ代表 斎藤聖美著
もしも・・・・


 車を買い換えるのをちょっと待って、代わりにトヨタの株を買っていたら・・・
今年の安値は2650円、高値は5220円。安値で買って高値で売っていたら、千株の投資で250万円ほどのお小遣いが手に入っていたはず。ただで車が手に入った計算です。
もしも、テレビを買う代わりにソニーの株を買っていたら・・・
昨年初め1万円くらいで百株買っていたら、年末には200万円近い利益が出ていたはず。

 株の世界に「もしも」は禁物です。しかし、上手に株を売買すれば、多額の利益をあげられることがよくわかるでしょう。
 人間が汗水流して働いている間、お金を銀行に眠らせておいてはいけない。お金も働かせるべきだ、と言って株式運用を勧める評論家もいます。昔から、「銀行預金で金持ちになった人はいない」と言います。蓄財を志すのなら、何と言っても株式投資です。とは言っても、一人で株を始めるのは簡単なことではありません。マスメディアやインターネットを通じて、企業や株式市場の情報を入手することは簡単です。でも、情報を分析してよい株を見つけ、買いや売りのタイミングをつかむのは難しいことです。それにお金の問題があります。NTTの株を1株買うのにも150万円以上の資金が必要な時代ですから、まとまった投資資金を用意するのは、大変です。だから、投資クラブがお勧めなのです。

投資クラブってなに?

 何人かの仲間がクラブを作り少額のお金を出し合って、そのクラブの名義で資金運用をする活動のことです。何人かが集まって、経済のゆくえ、市場の動き、技術革新、企業戦略などを研究して、どの株に投資するか、どの株を売るかを全員の意見で決めます。
 株式市場は美人コンテストだ、とよく言われます。美人コンテストの審査員は、自分の好みではなく、一般の人が美人だと思うような人を選ばなくてはなりません。株も同じこと。自分がよいと思っても、他の人たちがよいと思わなければ株価は上がりません。ですから、投資クラブでいろいろな人の意見を聞くことは、とてもよい勉強になります。また、仲間とお金を出し合えば動かす投資資金が大きくなります。投資クラブは「ちりも積もれば山となる」し、「三人寄れば文殊の知恵」なのです。
 投資クラブは1929年の世界大恐慌から11年経過した1940年に、アメリカのデトロイトで始まりました。今では世界中にこの動きが広まり、世界投資クラブ連盟(World Federation of Investor Clubs)も設立されています。日本では1996年の7月末に設立が認められたばかりですが、銀行定期に1年間百万円預けても利息が千円になるかならないかという超低金利時代が長引くにつれ、投資クラブへの関心は高まってきました。人任せではなく、自分で研究して、蓄財を目指そうという人が急増してきているのです。

投資クラブの会員資格は?

 特にありません。経験不問、年齢不問。投資クラブの原則です。もともと投資経験のない個人が仲間と共に勉強していこうというものですから、誰もが参加できます。素人の集団なら、投資クラブの運用成績は芳しくないかと思うかも知れません。ところが、びっくり。アメリカの投資クラブの6割は、株式投資の評価基準に使われるS&P株価指数を上回る成績を上げています。
 おもしろいことに、女性のクラブのほうが成績がよいそうです。よい製品やサービスを提供する企業を、日常生活から肌で感じとっているせいかもしれません。
 投資クラブは個人の意志で参加するものです。入会も退会も自由です。
 株ですべてを失うという話をよく聞きますが、投資クラブでは、最悪の場合、自分が拠出した資金を失うだけです。クラブの他の会員の債務を負うことはありません。少ない金額とリスクで、投資を学び、知識を広め、仲間との交流を楽しむ。おまけに資産形成が可能とくれば、申し分ありません。知的なレジャーとして、これから、ますます盛んになっていくことでしょう。

投資クラブのタブー

投資クラブで次のことをしてはいけません。
× 誰か外部の人に運用を任せる
× クラブの会員一人に任せきりにする
× 耳よりな内部情報を集める
× 多額の資金を集めて相場を操作する
× 会員の間で投資の責任をなすりあう
 お金を扱うクラブですから、公正に上手に運用するために、各個人の心構えが重要です。
投資クラブの基本ポイントは、
○ 全員参加
○ 合議制
○ 役割分担
○ 少人数制
○ 毎月少額の資金拠出
自分のお金は自分で守り、運用する。
みんなで楽しみながら勉強をする。
それが投資クラブの基本精神です。

勉強の方法

 投資クラブの会員が全員、株式投資に詳しいとは限りません。それよりも、入会を機会に勉強したいと考える人のほうが多いでしょう。どのように株式投資の勉強をするかは重要なテーマです。
 最初のうちは、経済、金融の分野の専門家を招いて講義をしていただくのもよいでしょう。でも、会員の間で独自の勉強をする努力を忘れてはいけません。用語の勉強、チャートの読み方など、テーマを決めて毎回少しずつ学ぶ方法もあります。新聞や本を会員と一緒に読みながら知識を身につけていく方法もあります。会の仲間と楽しく学ぶ方法を探ってみてください。

楽しむ工夫

 長く楽しいクラブ活動をするためには、全員が楽しむ工夫も必要です。 新年会、春のお花見、夏の暑気払い、紅葉狩り、忘年会など。投資を離れた交流の場を設けて、友情を育てる機会を持ちましょう。お互いの気心が知れるようになれば、和やかに会を運営することができりうようになります。
 一年後の日経平均株価予想や、円とドルの為替相場の予測を競うとか、ゲーム性を取り入れて、遊びと勉強を組み合わせるのもよいアイデアです。
 あるクラブでは、投資で得た利益で旅行に行くのを楽しみにしています。利益が出るたびに、「ハワイが近づいた」、「これでは近くの温泉一泊旅行だ」と話し合うのも楽しいものです。利益の額に目の色を変えないで、余裕をもった楽しい投資の工夫をしてください。

儲けるよりも重要なこと

 「あの人が反対したから、値上がりする株を買い損ねた」「タイミングを逃して、損が出る前に売ることができなかった」。そのうちに、こんな愚痴や不満が必ず出てくるでしょう。雰囲気がギスギスしてきたら思い出してください。投資クラブは仲間と勉強する場だということを。投資クラブでは儲け損なっても、損をしても、全部授業料と割り切るくらいの気持ちで臨みましょう。得られるものの大きさを考えれば安い授業料です。

先輩クラブの話

 設立から3年以上の歴史を持つ、 BRBロンバートクラブをご紹介しましょう。
 このクラブの一五人の会員は、ある会員制クラブの仲間です。投資に関心のある人が少しずつ集まってクラブを始めました 。最初に会合を持ったのは1996年11月ですが、規約ができあがったのは翌4月 。何を目的とするのか、どのような会にしたいのかを時間をかけてじっくり話し合いました。
 74歳から41歳まで。年齢もさまざまですが、職業経験もさまざまです。最初は外部の講師を招いて勉強をしました。講師の推薦する業種や会社に投資をしているうちに、これでは勉強にならないと気づき、銘柄選定委員会を設けて、自分たちの考えで投資をするようになりました 。そこに至るまでには2年以上がかかりましたが、おかげで、今は会員の誰もが高い意識で参加しています。
 いつも議論は活発で、例会は3時間では終わらないくらい。個別の銘柄を検討する例会と、ポートフォリオ全体を考えたり勉強をしたりする例会とがあり、月に2回集まります。最近の出席率は非常に高く、欠席者は毎回一人か二人です。
 このクラブでは、勉強することを一番の目標において、長期保有用の株、短期売買用の株と分けて運用しています。為替の動きに敏感になるようにと、外国株に投資したこともあります。クラブの議論で学んだことを自分の投資にも上手に活かして、カサブランカに旅行した人、豪華なヨーロッパ旅行を楽しんだ人などがいます。
 クラブの自慢は、74歳の大先輩を始めみんながパソコンスクールに通って、パソコンとインターネットを操れるようになったことです。インターネットに接続していないのは、一人を残すだけ。その一人もまもなく始めると宣言しました。投資クラブのおかげでインターネットができるようになり、世界が広がった、とメンバーは喜んでいます。今では電子メールで連絡を取ることを基本にしています。議事録や提案書なども電子メールに添付して、やりとりしています。
 運営の成功の秘訣は、誰もが遠慮なく発言できる雰囲気にあります。老舗のクラブとして、このクラブは新聞や雑誌でも何度か取り上げられています。

投資クラブの作り方

   それでは具体的なクラブの作り方をまとめてみましょう。
  1. 仲間を募る

     まず、仲間を募ります。仲のよい友達を誘いたくなりますが、一つ気をつけてください。
     なにしろ、お金のからむことです。クラブで損を出して、おまけに友だちも失うことがあれば、踏んだり蹴ったりです。しこりを後々まで残すタイプの友人だと思えば 誘わないほうが無難でしょう。

  2. 会の大きさ

     人数が多すぎると意見をまとめるのが難しくなります。かといって、少なすぎると、投資資金が小さくなって、購入できる株が限られてしまいます。
     だいたい10人から20人の間、15人前後が一番運営に向いているようです。
     最初からそれだけの会員が集まらなくても、かまいません。気長に構えて。
    噂を聞きつけて仲間入りしたいと言ってくる人も出てくるはずですから。途中入会者は全員が賛成する人に限ります。

  3. 拠出金額を決める

     投資クラブのコツは長く続けること。「継続は力なり」です。
     そのためには、あまり負担にならない金額を出し合うように決めるのがよいでしょう。最初にある程度まとまった金額を払い込み、毎月の拠出金は3千円くらいにするクラブ、最初の払い込みは少ないが、毎月二万円くらいずつ拠出するクラブ。いろいろです。
     みんなが納得するまで話し合い、あなたのクラブに合った金額を決めましょう。

  4. 代表を決める

     投資クラブを代表する人を決めましょう。
     リーダーシップを取れる人、投資クラブの運営に前向きな人、世話好きな人。どんなタイプの人をリーダーにするかで、投資クラブの性格が決まっていきますから、時間をかけて選びましょう。いやがる人に役目を押しつけてもうまくいきません。

  5. 業務執行者を決める

    株を買う、売るとクラブで決めたら、それを実行する人が必要です。それが業務執行者です。
    証券会社や銀行に注文を出しますから、的確な指示を与える能力が必要です。証券会社の取り決めなどを知らないで、勘違いして間違った指示を出してしまっては大変です。最初のうちは、ある程度株に馴染みのある人にお願いするほうがよいでしょう。

  6. 会計を決める

     クラブのお金にかかわるすべての業務を取り仕切ります。細かいお金の出し入れ、直近の株価を使ったクラブの資産報告など、たいへんな作業です。
     経理の知識のある人が最適です。そのような人が会員にいない場合には、基本的な帳簿の付け方の講習に出るか、書籍で勉強をしてもらえばよいでしょう。今は便利なソフトが出回っていますので、それほど専門知識がなくても、役目は務まります。ただし、最低限、パソコンの表計算ソフトはマスターしていてほしいですね。
     会計が決まったら、その担当者にクラブ名義の銀行口座を開設してもらいます。毎月の投資資金の払い込みの確認など、頻繁に銀行で記帳をする必要がありますから、会計担当者に一番便利な銀行を選ぶべきです。
     同時に、利用する証券会社の選定も行います。証券会社によっては、投資クラブの口座開設に積極的でないところもあります。協力的な会社を選びましょう。

  7. 監査役を決める

     クラブの運営、会計の監査を行うお目付役の役目です。不正が行われていないか、クラブの運営が一部の人たちの意思で動かされていないか、目を光らせてもらいます。
     会計の監査をしますので、経理の知識があると一番よいのですが、そうでなくても常識的なセンスがあれば、務まります。
     公正無私な性格で、誰もがその言葉に耳を貸す長老格の人にお願いすれば丸く収まるでしょう。

  8. 議長を決める

    例会で誰が議長役を務めるかは、会の運営上、大きな影響を与えます。
     通常、代表が議長役を兼ねることが多いようです。会員間で意見の対立があったときの仲裁などをするときに、立場上代表だとやりやすいからでしょう。しかし、議長役は気骨の折れる役目なので、毎回持ちまわりにするクラブもあります。
     議長が議事録を作成するクラブもありますが、別途書記をおいてもよいでしょう。

  9. 役員選出の際の注意事項

    代表、業務執行委員、会計、監査役、議長、書記。今まで述べてきた役に選任された会員には、 どの役割をとっても、大きな負担がかかります。時間がかかるだけでなく、気苦労もたいへんなものです。
     しかし、投資クラブの性格上、彼らに報酬を支払うことはありません。その代わり、彼らの負担を軽減する工夫をしてあげてください。持ち回りにする、任期を短くする、外部のサービスを活用するなど。クラブのメンバーが役員に協力的であること。それが基本となることは言うまでもありません。

  10. 投資の対象を決める

     投資の対象なんて、株に決まっている、と思うかもしれません。しかし、最近の資本市場は複雑になっています。
     たとえば、株を持っていないのに値段が下がると見込んで空売りをすることを認めますか? 先物は? 転換社債、オプションは? 海外の株式は? 国内市場に限っても、店頭登録株、マザーズなどの市場があります。会員の知識レベルに合わせて、あらかじめ取り決めをしておいてください。
     同時に、クラブの投資目標を明確にしておきましょう。長期的なアプローチをとるのか。短期的な売買を中心とするのか。どの程度の利益を目標とするのかも大切です。あるクラブでは、5年間に資産を倍増することを目標としています。

  11. 規約を作成する

     さあ、これだけ決めておけば、大丈夫。規約の作成に取りかかることができます。
     クラブの規約は、全員が合意する取り決めです。じっくり時間をかけてください。
    規約のひな形は、株式会社イカスや日本証券業協会に用意されています。それを利用すれば便利です。

  12. 例会を開く場所
     毎月、どこで会合を開きますか?

     投資の方針を決めるのですから、静かな落ち着いた場所が理想的です。喫茶店やファミリーレストランなどを下見して研究しておいてください。安価なら貸会議室も考慮の価値があります。
     会員の自宅を開放してもらうのは、個人負担が大きすぎるかもしれません。長くクラブ活動を楽しむには、会員の負担になりそうな取り決めはしないこと。これが秘訣す。

  13. 運営を円滑に進めるために

     投資クラブの運営を円滑に進めるためになくてはならないもの。それは、簡単な連絡方法です。
     次回の会議の出欠、議事録の送付、緊急に持っている株を処分したいような相場になったとき。会員どうしの連絡を取ることは頻繁にあります。
     最低限、全員がファクスを持っていてほしいのですが、いちいちファクスを全員に送る手間を考えれば、電子メールで連絡ができる環境が欲しいものです。ペーパーレスで簡単に、しかも安く連絡できるのですから。そして、情報を入手するためにもインターネットが大活躍します。インターネットのホームページでほぼリアルタイムの株価が入手できますし、たいていの企業が財務データを開示しています。株価に影響を与えるようなニュースが出ても、インターネットで瞬時に知ることができます。このように、パソコンとインターネットは何かにつけてたいへん便利な道具です。もし、まだ利用していないのなら、この機会にクラブの仲間と始めてみてはいかが。

  14. 最初の一歩

     さあ、すべての準備が整いました。いよいよ、設立総会の開催です。
     全員が規約を熟読し、内容に賛成したら、規約の最後に署名捺印をします。そして証券会社の顧客登録カードに記入します。口座は投資クラブ名義ですが、メンバーの一人一人が顧客登録をしておかなくてはなりません。身分を証明するもの(免許証、保険証など)、印鑑の持参を忘れないように。

  15. 払い込み

     期限を区切って、最初の出資金を銀行口座に払い込みます。
     期限内に払い込みをしなかった会員はどうするか、毎月の払い込み資金を滞納する会員が出てきた場合にはどうするかなども決めておかないとトラブルのもとです。
    これで、クラブの設立の手続きはおしまいです。 何も難しい手続きは必要ありません。難しいのは、設立のあと上手に運営していくことです。BRBロンバートクラブの例のように、安定的な運営ができるようになるまでは時間がかかるものと思って取り組んでください。

新しい人生を切り開く

 全米個人投資家協会(NAIC)の会長を務めるトーマス・オハラさんは、投資クラブで勉強したことを活かして新しい人生を切り開いた人を多くみてきました。投資クラブで得た利益を元手に会社を興して起業家として成功した人、マイホームを手に入れた人などなど。
 投資クラブで得た友達とお金で、新しい人生を切り開いた人の例は枚挙にいとまがありません。
 イギリスのゴールデン・ガールズクラブは50歳以上の女性であることが会員資格です。子育てを終え、自分自身の人生を見直す時期に達した女性たちが、活発な活動を繰り広げています。現役会員の最長老は84歳。彼女ははつらつと生活をエンジョイしています。
 あなたも、自分で自分の将来を設計してみませんか。


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