2020年11月25日(No.15)

「いよいよ始まるインドの黄金時代」

今回のアメリカ大統領選挙でジョー・バイデン氏が勝利し、その副大統領にカマラ・ハリス氏がアメリカ初の女性で黒人、そしてアジア系移民の子として誕生することは、これから始まるインドの黄金時代の前触れのような気がします。

ハリス氏は、ジャマイカ系の父とインド系の母の間にカリフォリニアで生まれ育ちました。現在56歳です。バイデン氏が77歳と高齢なため、2024年の2期目には出馬しない可能性が高いため、彼女が次回の選挙では有力な大統領候補なると見られています。それにしても、先日行われた彼女の勝利演説は、絶望しそうだったアメリカの民主主義の将来に希望を繋ぎ止める感動的なものでした。
このバイデン、ハリスの勝利をインドのメディアはインド人の誇りとして大きく取り上げています。その当選確実が伝わった翌日のインド株式市場は、それを祝うように力強く史上最高値を更新しました。
また、バイデン氏の祖先が1700年代にアイルランドから東インド会社のキャプテンとしてインドに渡り、インド人女性と結婚し、その間に生まれ子孫が未だにインドのムンバイに住んでいるとう、バイデン氏の言葉も次期アメリカ大統領とインドとの深い縁として大きなニュースになりました。

このような繋がりと、進行するデジタル化時代への対応もあり、新しい政権の重要ポストには数多くのインド系アメリカ人が登用されると見られています。
実は、インド系人材の世界政治での活躍は、アメリカだけに限ったことではありません。英国のボリス・ジョンソン内閣の閣僚メンバーには、39歳の若さで事実上のナンバー2と言われる財務大臣に抜擢されたリシ・スナク氏(写真下)を筆頭に、3名のインド系の人材が登用されています。

それに余談ですが、ジョンソン首相もインドと意外な縁があります。彼の2番目の妻のマリナ・ウィーラーさんの母親はシーク教徒のインド人です。そのためか、インドで聞いたところでは、ジョンソン首相のインド人脈はかなり広いとのことです

世界の投資家は長い間、インドの国内市場の成長性を同国に投資する最大の魅力と考えてきました。つまり、増える人口、若い人口、中間層による消費市場の拡大、インフラの整備や規制改革の進展などです。これらは言わば、世界に追いついて行くインドのイメージでした。

しかしこれからのインドには、上記のように先進国の政治や、AIなど最先端のデジタル技術、ワクチンの開発・生産・供給などの医療技術、更に新しい投資尺度のESG(環境、社会、ガバナンス)などの分野で世界をリードしていく新しいイメージが加わると予想されます。これは大変大きなトランスフォーメーションです。

世界経済が新型コロナウイルス感染拡大による深刻な景気後退から完全に回復するには相当の時間が必要と予想されます。そのため、暫くは世界の金融は大幅に緩和された状態が続きそうです。
その最中、力強い景気の回復と同時に、テクノロジーとグローバリズムで、そのプレゼンスを急速に高めていくであろうと期待されるインドという世界最大の民主主義国家の黄金時代に、世界の投資家や多国籍企業は大きく資金をシフトしていくと見ています。