2019年9月25日(No.1)

「投資と資産 運動 ▼▼ の時代」

アジア資産運動(✺ ✺)アドバイザー
勝池 和夫

「貯蓄から投資へ」のシフトはなかなか進んでいないようです。
2つの間に乗り越えなければならない高いハードルが特に意識面であるそうですが、それは投資を株式などの有価証券投資に限定して捉えているためだと思います。
私は、人生で経験する主要な投資を以下の3つのセットで考えています。

投資の3種類
種類 目的 期間 地域・分野 リスク
教育投資 人間を育てる 長期 日本・海外 あり
設備投資 会社を育てる 長期 日本・海外 あり
証券投資 お金を育てる 長期 日本・海外 あり

投資を、「育てるためのもの」という観点から3種類で考えますと、殆どの人は既に何かの投資を経験している筈です。
投資は、子供(もしくは自分)の教育でも、会社の設備でも、家計が保有する有価証券でも長期が基本であり、且つ海外も含めて適度に分散されていることが望ましいと思います。

一方で、教育方針を間違えたとか、設備投資に失敗して赤字を出したなどのリスクを伴います。リスクは証券投資に限ったものではありません。また、それらの投資の成果は、成績表、決算書、また投資信託ですと運用報告書などに定期的に表れるので、スピードラーニングやトレーディングのように短期で求めるものでもありません。

人生100年時代には、3番目のお金を育てるための投資が益々重要になってくるでしょう。それには、それまでの2つの投資で身についた知識や経験が活かされる筈です。

「貯蓄から資産運用へ」も抵抗があるキャッチフレーズです。
「運用」という響きは素人には手が出しにくいイメージですし、少し柔らかく「資産形成」に変えても、近寄り難いのは一緒です。私は、この資産運用を資産運動と身近に捉えなおし、人生100年時代をより健康で過ごすための運動の3セットの1つとして投資家にアドバイスしています。つまり、「頭の運動」「体の運動」「お金の運動」です。

「運動」という響きは健康に良いイメージですよね。ですので、クイズなどの「脳トレ」やスクワットなどの「筋トレ」は、多くの方が頭と体の運動として日常的に生活の中に取り入れています。ところが、お金のことになると、殆ど金利が付かない口座に引きこもっている運動不足の状態です。大変健康に良くありません。「運動」は英語で ”Exercise” と言います。元々の意味は「家畜を小屋から外に出して働かせる」という意味です。
我々は、今こそ「貯蓄を外に出して働かせる」資産運動の時代に入っています。

【編集部より】当コラム「勝池レポート」は、中国株投信の運用、東南アジア株投信の企画、インド株投信の販促などで25年以上のアジア経験を有する、勝池和夫氏による新シリーズです。