2017年3月18日発行
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ICAS通信 118号

「素晴らしい時節の到来だが‥‥!」

桜の季節が過ぎようとしていますが、続いてハナミズキ、モクレン、ツツジ、レンギョウなどの花木、更にはスズラン、アヤメ、カタクリ、スイセンなどの草花が花を咲かせてきました。わくわくする時節の到来です。

ところが一方で、世界の事象に目を向けますと、アメリカが電撃的にシリア空爆を実施し、あっという間にアフガン、北朝鮮へとイベントリスクが拡散しました。

これを受けて世界の株式市場は一気に下降局面に突入してしまいました。この難しい時勢を乗り越えるため皆様とイカス共々投資研究を重ねていこうではありませんか。イカスではこれからも皆様と共に投資研究を重ね成果に繋げていきたいと思っております。

更に、イカスでは投資クラブの他、交流会、企業見学会、シネマ倶楽部、カラオケ倶楽部、ゴルフ倶楽部など、幅広いコミュニティーの組成にも力を注いでおります。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

 

目 次

  1. 鎌田留吉レポート
    『理論の衣装をまとった駄法螺』
  2. 映画を通してみる株式市場
    『わたしは、ダニエル・ブレイク』
  3. 株式投資力クイズ問題
  4. イカスからのお知らせ

1.鎌田留吉レポート

『理論の衣装をまとった駄法螺』

千葉の県人 鎌田 留吉

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筆者近影

4月11日付日経夕刊の「マネー底流潮流」に「米国株は割高か割安か」と題する記事が掲載されていた。

割安であるとする論者は、PER*に長期金利をかけた「金利調整後PER」なるものを持ち出しPERは高くても、金利が低いと「金利調整後PER」の水準は下がる、という。S&P500の金利調整後PERは最近0.4倍台で、過去25年の平均(0.76倍)より低い。従って米国株はむしろ割安だ、と断ずるのである。つまり現在の予想PER18倍にアメリカの10年国債の金利0.0225をかけると0.405となる、という論旨である。

私はこの「金利調整後PER」なる言葉を初めて目にした。そしてまず思ったのはこうした判断基準が出てくると崩落は近いなということだ。1980年代後半のバブルのころにその正当性を説明するために「トービンのQレシオ」なるものが喧伝されたことがある。つまり、何か珍奇な理論(?)を持ってこない限り現状は説明がつかないということなのである。

この「金利調整後PER」なるものについていうなら、そもそもPER理論は成長理論であり、1950年代に債券利回りが株式利回りを上回ったいわゆる「利回り革命」を説明するために生み出された理論であり、それを今まさに「逆利回り革命」が進行している現代に説明手段として使用するのは論理矛盾ではないのか?という疑問がひとつある。

更に何故2つの指数をかけるのか?失業率とインフレ率の和であるミゼラブル指数のように何故足し算ではないのか?昔1980年代の「悪名高き6.1%国債」が出たとき、日本のPERは50倍ほどだったろうか。とするとその時の「金利調整後PER」は50×0.06=3である。それに対して、現在の日本のPERは15.4倍、10年国債利回りは0.00004だ。これをかけると0.000616だ。1980年代の3と比較すると4870倍だ。つまり日本の株価はあと4000倍してもよいということになる。

こんなことになる「金利調整後PER」なるものがいかにでたらめな、あてにならない判断基準であるかわかろうというものだ。

Aという事象がバブルであるとして、そのAと比較したBという事象の整合性があるように見えるからと言って、Bはやはりバブルではないか?

丁度1980年代後半の日本経済が不動産バブルによって支えられ、その経済と比較した株式の整合性があるかのように見えたとしてその株式市場がバブルであったように、今誰もが認める債券市場の超バブルと比較して株式市場の整合性があるように見えるからと言って、大局的にはそれは大バブルなのだ。
では債券バブルと株式バブルとどちらが先に崩壊するか?金利は実体経済である。それに対し株式市場は夢幻だ。まず夢が醒めるに決まっている。

2017.4.18 記

〈編集註〉*PER:Price Earnings Ratio の略称で和訳は株価収益率。株価と企業の収益力を比較することによって株式の投資価値を判断する際に利用される尺度。

2.映画を通してみる株式市場

『わたしは、ダニエル・ブレイク』

ICAS専務理事 望月純夫

『わたしは、ダニエル・ブレイク』は、社会の片隅で懸命に生きる人々の現実を描いたヒューマン・ドラマです。

イギリスの巨匠ケン・ローチン監督は、一貫して貧しい労働者階級の現実に焦点を当ててきました。本作は、その様子を描いたものです。
イングランド北東部にある町ニューカッスルに住む59歳の大工のダニエル・ブレイクは、心臓の病気で医者から仕事を続けることを止められます。国の生活援助の手続きをしようとしますが、複雑な制度に翻弄され支援を受けられません。そんなある日、2人の子供を抱えるシングルマザーのケイティと知り合い、思わず彼女を助けます。それをきっかけにケイティや子供たちと交流し、貧しい中でも助け合うことで、疑似家族のような絆が生まれていきます。

しかし、彼らにはさらなる試練が降りかかり、厳しい現実に追い詰められていきます。融通が利かないお役所的な手続きや、フードバンク等、多くは実話からヒントを得ているそうです。弱者に冷たい官僚システムに翻弄され耐えがたい屈辱を味わっても、ダニエルは尊厳を失いません。そればかりか、本当は自分が助けを必要とするのに、より困窮しているケイティ親子を助けるので、彼の善意に感動します。

(クリック予告編)

弱者が生きられない社会に怒りがこみ上げ、引退宣言を撤回して再びメガホンを取ったローチ監督ですが、決して声高なメッセージなどは発していません。ダニエルとケイティのリアルな日常を丁寧に積み上げ、彼らが観客にとって身近な存在であること、失業や貧困などの問題は、誰にも起こりうることなのだと訴えることで、静かに問題提議しています。ケイティの子供たちに木で作った飾りをプレゼントする心優しいダニエルは、人を助けるのに迷いはありません。しかし、プライドが許さないのか、自分が助けられることには無意識で抵抗します。それを幼いケイティの子供たちが「あなたを助けさせて」と訴える場面は、名もない庶民の善意を信じるローチ監督の真骨頂で、涙がこぼれます。

だからこそ、ラストの切なさが胸に迫ってきます。タイトルは壁に描く言葉からとられていますが、これは全世界の労働者の叫びにほかなりません。

主人公を演じるデイヴ・ジョーンズは、英国では有名なコメディアンで俳優業は本職ではありません。真面目で不器用、どこかユーモラスなあたたかいダニエルを魅力的に演じています。
ケン・ローチ監督に2度目のカンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)をもたらした本作は、これまでのキャリアの延長線上にありながら、頂点とも言え、底辺で生きる人々への力強い応援歌です。今や、格差・貧困は世界的なテーマです。凜として生きる姿に感動しました。

3.株式投資力クイズ問題

株式に興味のある方は是非以下の問題にチャレンジしてみてください(答えは最下段にあります)。

 

1:英EU離脱に関す問題ですが、間違っているものはどれか。下記の中から1つ選びなさい。
  1. EU離脱に関する国民投票は2013年の総選挙のキャメロン首相の公約であった。
  2. EU離脱派の主導者は元ロンドン市長のボリス・ジョンソンであった。
  3. 国民投票の法的拘束力がある。
  4. イギリスがEUから脱退するのに最低2年間かかる。
2:英EU離脱の国民投票後の金融・為替に関して間違いはどれか。下記の中から1つ選びなさい。
  1. 6月24日の英のEU離脱で、ポンドはドルに対し10%ほど下落した。
  2. 6月30日にドイツ10年国債がマイナス0.10%を割る水準となった。
  3. 金融センターの地位の低下懸念で銀行株が急落した。
  4. EU離脱後も欧州金融単一制度を利用できる。
3:日本の証券市場歴史的な記述で誤りはどれか、下記の中から1つ選びなさい。
  1. 日経平均の過去の最高値は1989年12月31日の38,915円である。
  2. 日経平均の過去の最安値は2008年7月10日の6,994円である
  3. 2015年の円・ドル最高レートは130円台を記録した。
  4. 過去最高の円高は2011年3月19日の78円35銭である。
4:中国元が1ドル=5.72元から1ドル=8.72元と大幅に引き下げられ、中国が世界の工場となった年はいつですか(米クリントン政権時代)。下記の中から1つ選びなさい。
  1. 1985年(昭和60年)
  2. 1990年(平成2年)
  3. 1995年(平成7年)
  4. 2000年(平成12年)

4.3月以降の主要イベントのお知らせ

  • 4月11日16時〜イカス投資塾昼間コースイカス事務所
  • 4月18日18時〜イカス投資塾夜間コースイカス事務所
  • 4月19日15時〜シネマ倶楽部有楽町近辺映画館と新橋第一ホテル
  • 4月28日18時〜イカスカラオケ倶楽部西新橋、倶楽部「エル」
  • 6月03日18時〜上期交流会青山一丁目AOSHIMA
  • 6月30日13時〜イカス企業見学会花王東京工場と柴又帝釈天

*以上の他、各種イベントはイカス イベント情報をご覧ください。

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    「一般会員」‥‥ 会費無料、「活かす通信」、各種イベント・セミナー等の優先案内、情報提供。
    「投資クラブ会員」‥‥ 年間運営費36,000円、一般会員サービスに合わせて投資クラブで専門情報を受けて実投資に参加できます。
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(株式投資力クイズの答え:1→4 2→4 3→3 4→3)