2018年12月25日 発行138号
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ICAS通信
2019年 新年号

(今号より本紙の発行月題字は発行日の翌月に変更いたします)

「新年に向けて !! 」

12月の株式相場は、利益確定の動きが出やすい一方で、次年への期待感から買いも入りやすく、強弱感が入り混じって上下に動きやすい傾向があります。

餅つきのように上下にぺったんぺったんと動きやすいことから、俗に「餅つき相場」と呼ばれています。

年末、年始はどう動くのでしょうか。

中国の急速な国力拡大により覇権国米国の威信が揺らぎ始め、米中貿易戦争引き金の主要素になった感があります。これが様々な難問を引き起こし、世界経済の行方にも疑問符がともり始めました。年末にかけて「掉尾(たくび)の一振」は実現するのか、はたまた視界不良が続くのか、難しい局面に差し掛かっています。ここは無理をせず、視界が開けてくるまで状況を見守ることに徹してみては如何でしょう。

この1年大変お世話になり有難うございました。

来年も皆様と研鑽を積み合い、投資を通じて素晴らしい仲間の輪を広げていこうではありませんか。

 

目 次

  1. 鎌田留吉レポート    AIは意味を理解しない
  2. 株式相場展望      株式相場の展望
  3. 株式投資力クイズ問題  株式投資力クイズ問題
  4. イカスからのお知らせ  イカスからのお知らせ

1. 鎌田留吉レポート

AIは意味を理解しない

千葉の県人 鎌田 留吉

12月9日(日)の日経一面は異様な誌面だった。

ソフトバンク(9434)の公募価格決定直前に「異形の利益日本一』」との見出しで「ソフトバンクの実像」と題する特集が3日に渡って組まれたのだ。

それはソフトバンクG(9984)の利益が「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」の評価益によっている危うさを指摘したものであった。

私は孫正義氏が主催するこの「SVF」は以下の3つの理由で失敗すると考えている。

  1. (写真:時事通信フォト)
    この30年間に起こったICT革命はまさに人類始まって以来の革命であったと思う。
    何故なら、先ずPCが企業を中心にして、「1人1台」という規模で導入され,やがて家庭でも「1人1台」という規模で購入されていったことである。
    マイクロソフトのオフィスについてデファクトスタンダードという言葉が宣伝されたのも記憶に新しい。
    ついで携帯電話が「1人1台」普及しその半分近くが、スマホに置き換わっていった。ある程度の値段がする製品が短期間に「1人1台」に行き渡るなどということは人類史上初のことである。
    それらを介するインターネットによりを全てのひとびとが、ニュースを見、調べものをし、音楽を聴くようになった。
    この事象を司る企業群のトップが、相次いで1兆ドル企業となったのは、むべなるかなである。孫氏の幸運はその渦中に身を置きその果実の殆どを手にした。しかし、AIが作り出すと思われる製品は今や多数の企業が挑戦しており、頭抜けた企業というものが出にくい。なによりも介護ロボなどは病院に数台あればよいようなものであり、「1人1台」というような商品にはなりえない。
  2. アメリカの投資家ハワード・マークス氏も指摘していることだが「1,000億ドルもの資金を思慮深くテクノロジー分野に投資できるとは思わない。」「1990年代にとても成功したベンチャー・キャピタルは1~2億ドルを調達した。そしてドットコム・バブルのときには3桁のリターンを達成した。
    これによりVC各社は10~20億ドルの資金調達をした。そして著しく失敗した。余りにも少ない投資案件に余りにも多くのVCが殺到したのだ。」
    金余りの世の中で、投資対象は枯渇していく。
    たとえ投資先を確保できても、投資価格は高くなっている。リスクは高く、リターンは低くなってしまう。
    VCの投資の特徴である一つの投資先の成功で20の投資先の失敗をカバーするということができない。
  3. 孫氏が先の日経の記事で説いている「人類史上最大の革命、人工知能(AI)革命を起こした人々を幸せに」という理念の前提そのものである。
    新井紀子という数学者が「AIvs 教科書が読めない子供たち」の中でAIができることとできないことを詳細に論じている。そして彼女は断じるのだ。シンギュラリテイ(technological singularity=技術的特異点)はこない。つまり「人間と同じような知能を持った『真の意味でのAI』が自立的に、人間の力を全く借りずに、自分自身よりも能力の高い『真の意味でのAI』を作り出すことができるようになった地点」は来ない。
    何故なら「AIはコンピューターであり、コンピューターは計算機であり、計算機は計算しかできない。・・・ 人間の知的活動全てが数式で表現できなければ、AIが人間にとって代わることはありません」と。
    数学が獲得したのは論理と確立、統計という3つの言葉だけだった。
    従って「AIには文章が読めない」のだ。彼女が2017年の「TED」で「東ロボくん」(AIが東大合格を目指すプロジェクト)に関するプレゼンをし終えたとき、Siri の開発リーダーであったトム・グルーバーが囁いた「紀子、きみが言っていることは正しい。AIは意味を理解しない」。

2018.12.17 記

2. 株式相場展望

イカス専務理事 望月純夫

今年も例年通り120本以上の映画を観ました。

印象に残るのは、1月のユダヤ人を救った動物園、2月はデトロイト、3月はシェイプ・オブ・ウォーター、4月はウィストン・チャーチル、5月は君の名前で僕を呼んで、6月はワンダー、7月はブエナ・ビスタ・ソーシャルクラブ、8月は英国総統最後の家、9月はブレス、10月はイコライザー、11月はボヘミアン・ラプソディです。

ボヘミアン・ラプソディは、一世を風靡したロックバンド「クイーン」のボーカリスト・フレディの波乱の人生物語。パキ野郎でマイノリティのフレディは、奇跡の美声で世界を魅了する。しかし、彼は自分自身のアイデンティティ(バイセクチュアル)に常に苦しみ、もがき続け、1991年11月24日に友人(男性)に看取られながら、エイズに侵され亡くなります。

しかし、残された名曲は思わず心が躍りだすような「ボヘミアン・ラプソディ」「ウィ・ウィル・ロック・ユー」「伝説のチャンピオン」「炎のロックンロール」等があり、映画では28曲が全編に亘って流れ、物語にパワーを与えています。改めて心を揺さぶられました。「Rock you」と。

◇ ◇ ◇

今年も終わりです。株式市場は先を読むのを得意としています。

まず今年の市場を振り返ってみましょう。東京市場は23,073円で始まり高値24,129円を付けた後は3月には20,347円の安値を記録し、何とか10月に24,448円と1月の高値を更新しました。その後は急速に下げ足を速め20,971円まで売り込まれました。

東京証券取引所の2018年「大発会」

13週移動平均線が26週移動平均線を下回っており、回復するには数カ月の月日を要します(2019年3月が目安)。一人勝ちと目されていた米国市場も2018年1月の24,809ドルで始まり、最悪時の4月には23,344ドルまで下落しました。回復基調にあるようですが、10月、11月と2カ月連続の陰線を記録しました。

2019年を期待するには、1月を超える年足陽線が大事なポイントです。

春の声を聞くには、少し時間がかかりそうですが、良いお年をお迎えください。

3.株式投資力クイズ問題

厳しい投資環境の時期程勉強が必要となります、さて、今月のクイズです。

各質問のお答えください(答えは最下段にあります)。

  1. 景気の循環のサイクルには、キチン循環、ジュグラー循環、クズネック循環、コンドラチェフ循環があります。比較的短期の周期(40か月)の在庫循環は、上記のどの循環に当たるでしょうか。
  2. 今年の1月~9月の間に資金調達が一番多かった市場は、NY、HK、東京、上海、どこの市場だったでしょうか。
  3. 2017年上半期、2018年下半期、2年連続世界自動車販売で1位はどこの自動車会社でしょうか。VW、GM、トヨタ、ルノー・日産
  4. 13週移動平均線が26週移動平均線を下に抜けそうなタイミングです。この状態をテクニカル用語では何と呼ぶでしょうか。ゴールデンクロス、デッドクロス?
  5. 2017年末から2018年初めにかけて、三菱UFJ、みずほ銀行を皮切りに大手企業も参入した人民元建ての債券は何と呼ばれていますか。

お知らせ

1月のイベント: 

 

  • 株式投資塾(昼間編):1月15日(火)16時~ イカス事務所
  • 株式投資塾(夜間編):1月22日(火)18時半~ イカス事務所
  • カラオケ倶楽部:1月25日(金)18時〜 西新橋「倶楽部エル」

◇ ◇ ◇

 

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【活かす通信】

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発行責任者:林 孝 男

【株式投資力クイズの答え】

1:キチンサイクル 2:HK(香港)3:ルノー・日産 4:デッドクロス 5:パンダ債